contribution(貢献するということ)

ーー社会に貢献しようと思う。だが私はここにある1万円を寄付しない。何故だかわかるかね?
ーープッチ神父みたいなしゃべり方ですね。
ーーその理由は、私が世界に貢献するもっと効果的な方法を知っているからだ。それは"ビジネス"だ。資本主義社会では社会に貢献すればするほどビジネスは成長する。つまり金が儲かる。資本主義にはたくさんの問題があるが優れた部分も多くある。これはそのひとつと言えるだろう。よく人の為に何かをすれば自分に返ってくると言うが、全くその通り。システムとしてそれが成り立っているのだ。
ーー確かにそういう貢献の仕方もあるかもしれませんね。
ーーさらに言えば。今ある1万円を寄付せずに自分に何らかの形で投資し、社会に貢献するビジネスで成功すればその金は何百倍にも増加する。その金の一部を寄付し、一部を投資すればさらなる成長が起きる。相乗効果で貢献はつづく。世界の大富豪達、例えばビル・ゲイツなどが莫大な金額を寄付するのはそういう資本主義の仕組みをよくわかっているからだ。
ーーなるほど。ただ人気取りのためだけに寄付してるわけでもないんですね。
ーー今、20代・30代の若者が『日本を良くするために政府に望むこと』はなんと、「大企業と富裕層に増税をすること」だそうだ。(NPO法人政策過程研究機構、約1000名へのアンケート)これは、自分が富裕層になって社会に税金として効果的に還元したいという意見からでた解答だろうか?そんな事がありえない。あったとしても極少数意見だろう。これは自分とは関係の無い人間から金を取ればいいという意見だ。自分がビジネスで成功するという選択肢はとうにあきらめたのだ。そしてそこには、多くの場合富裕層が自分たちより遙かに社会に貢献しているという事実への認識が欠如している。日本特有の「金持ち=悪」という感覚から抜け出せていない。確かに過去、日本で日本特有の多くが平等につつましく暮らせる時代があったのかもしれない。しかし、現在日本はアメリカにくっついて完全に民主主義のシステムに飲み込まれている。その中で生きる覚悟が必要だし。それには意識の変化が必要だ。
ーー「世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ」ってやつですか。タフな意見ですね。
ーーそのとおり。これが我々が貢献しようとしている社会だ。腐った社会*1だが選択肢を選ぶ事は出来る。不条理な批判に耐えるだけタフになって社会に貢献するという自己満足を得るか、目と耳を閉じて安全なところで口をつぐむ努力をするか。どうする?
ーーきまってるのでしょう?
ーーうむ。だから私は金持ちになろうと思う。
ーーうわぁ、演説口調で宣言しきりましたね…。
ーー大金持ちになったらどかんと寄付するよ。
ーーやれやれですね。

*1腐った社会を知る本

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)
ノーム チョムスキー Noam Chomsky 鈴木 主税

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